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メールマガジンバックナンバー

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■■    成功するサービスモデルの法則
■■   ~事例で学ぶサービスサイエンス~

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 創刊号 ━━━

◆はじめまして。現役の事業開発・強化コンサルタント兼
サービスサイエンティストの三宅信一郎です。

◆成功しているサービスモデルには必ず成功の法則が存在します。
これからサービスサイエンス的アプローチを用いて、そのサービスを
観察しモデル化することで、その特徴を可視化し、そのサービスを成
り立たせている論理を明確にし、より高い価値を提供するサービスと
は何なのかといった本質を読者の皆様と探求しながら共有していき
たいと思います。

◆その結果、日本のサービス分野において、より高い価値を提供する
サービスがひとつでも多く現れて、より快適な世の中になればいいな
と思っています。

◆創刊号では、実在の企業ではないですが、故伊丹十三監督の「スー
パーの女」という映画に出てくる「正直屋」というスーパーを事例と
して取り上げました。「正直屋」が、どのようにそのサービスレベル
を向上させ、どん底から這い上がり成功に至ったかを分析してみたい
とおもいます。

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■■    日本一お客思いのスーパー

━━━━━━━━━ 情報ソース:伊丹十三作品「スーパーの女 ━━

◆のど元過ぎればなんとやらではないですが、昨年は、中国から
輸入された餃子の農薬混入問題で、食品の安全性が疑問視され、
大変大きな社会的問題になったことを覚えていますか?

◆有名ブランドを誇る大手食品会社の信用問題までに発展しま
した。

◆忘れた頃に繰り返される食品への偽造、偽装、安全問題。立派
に立ち直った会社もあれば、この世から姿を消した会社もありま
した。あまりにも多すぎて、一つひとつの事例がどういう問題を
起こして消費者にどんな被害を及ぼしたのか、思い出せないくら
いです。

◆毎年恒例の京都清水寺の僧侶が書く「今年の漢字」の2007年
版は、情けないことに「偽」でした。偽装、偽証、偽計の「ギ」
だそうです。

◆こういう状況を見ていますと、企業経営において「顧客志向」
、「現場主義」が大事である!などと昔からよく語られますが、
そんものいったいどこに行ってしまったのかと思ってしまいま
す。

◆ある日、近くのビデオレンタルショップに行って、故伊丹十三
監督の「スーパーの女」という映画のDVDを借りてきて何年か
ぶりに改めて観てみました。

◆私がパートナーとして所属しているワクコンサルティングとい
うコンサルタント集団の中でのある研修会で、「顧客志向とは
何か」という本質を学ぶには、この映画は素晴らしい映画だから
ぜひ観るといいと先輩コンサルタントに薦められたからでした。

◆この映画を観てびっくりしました。1996年の作品なのでも
う10年以上も前に作られたのですが、そこに描かれているスト
ーリーは、まさに昨年来から問題になっている食品偽装に真正面
から取り組んで、真の顧客志向を追及するスーパーの物語が描か
れておりました。

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■■  売れるためのビジネスモデルの仕組みを読み
■   解く

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◆スーパーの名前は「正直屋」。宮本信子演じる主人公が、ある
とき近隣にオープンした安売り日本一を歌い文句にする「安売り
大魔王」という後発のスーパーに客を取られてしまい、そこに対
抗するために、幼馴染みの社長を支えながら、お店の改革に着手
し、やがて遠のいていたお客を見事取り戻すというストーリーが
描かれています。

◆主人公が支援を開始したときの正直屋は、名前とは全く正反対
のオペレーションを行っていました。

◆たとえば、業界の常識だといって、前日の売れ残りの肉や魚を
パックし直したり(リパック)、日付を偽装したり、高級肉に安
い肉を交ぜてかさを増してごまかしたりと、消費者がまさかと思
ようなことを平気で行って、儲けることばかりを優先していまし
た。

◆儲け至上主義が偽装を生み、結局儲けるどころか、結果として
大事なお客様を競合に奪われてしまいました。

◆お客様もさることながら、そこで働く社員やパートのおばちゃ
んでさえも、正直屋で買うことがないスーパーにまで落ちぶれて
しまいました。

◆そこで、主人公は、何よりも大切なことは何かを考えに考え抜
いた末に、それは、「お客様に本当に喜んでいただくこと」であ
るということに行きつき、それをビジョンとして掲げるに至りま
した。

◆そして、日本一のお客様思いのスーパーに何があっても生まれ
変ろうと強く決意したのです。

◆それからは、偽装に手を染めていた職人やマネージャー、調達
先の社長などから、猛反発に遭いながらも、偽装を良しとしない
一部の社員やパートのおばちゃんたちと一緒になってお客の声を
真摯に聞き留め、希望や要望を吸い上げ、たとえ誰が抵抗しよう
と、多少お店に損が出ることになろうと、やらなければならない
ことにひたすら邁進するのです。

◆この正直屋のビジネスモデルから学べることは、

1.顧客志向・現場主義

2.情熱をもったリーダーの存在(主人公)と明確なビジョン
(こうあるべきという誰もが理解しやすい方向性)

3.既存の業務プロセスの見直しと改革(改善ではない)

4.社員のやる気の喚起

の4点であると思います。

◆顧客満足(CS)の解説本を何冊も読むよりは、顧客志向の入門
を学びたい方は、是非この「スーパーの女」を見るのが一番ス
トレートでわかりやすいと思います。

◆以前ご覧になった方も、初めからこの映画から顧客満足向上の
方法論を学ぼうなどと思って見た訳ではなく、小生もそうでし
たが、単なるエンタテイメント映画としてご覧になった方がほ
とんどだと思います。

◆その時と違い、ぜひこのような観点から皆さんも一度ご覧にな
ってみてはいかがでしょうか?

◆ただ、本当に今すぐ見てほしい方々は、冒頭に記載した企業の
経営者の方々ですね。ぜひ正直屋のように見事に再生して、以前
のように消費者の満足度を向上させて、夢を与えてもらいたいと
思います。

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■■ 本日の学び ■■

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◆企業の商品の売れ行きが向上するとしたら、何がそのきっかけ
となり得るのだろうか。熱い思いを持った経営者が、顧客の「事
前期待」に真摯に向かい合い、そこに提供価値の拠り所を見出す
地道な努力がなされた時に初めてビジネスが動き出すのではない
だろうか? そのためには常に顧客の「事前期待」を収集する仕
組みを構築する努力を続ける必要がある。

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■■ 編集後記 ■■

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◆最後まで読んでいただきまして、誠にありがとうございました。
これからもこれぞというサービスモデルを見つけて、解説をして
いきたいと思っておりますのでお楽しみに。

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発行責任者:三宅信一郎 shinichiro.miyake@bfc-con.com

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全文を改変などすることなきようお願い申し上げます。

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連載 営業マン小説 「商社マン しんちゃん。 走る!」 (18)

「商社マン しんちゃん。 走る!」
~営業マン小説:高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~

筆者の商社マン生活の実体験を元に小説風にしました。


いったんホテルに戻って、丸の内重工の皆様をお連れして
支店長宅に着くと、夜の7時は過ぎていた。


もう既に酔っ払って赤い顔をした永井店長が上機嫌で
玄関まで出迎えてくれ、一行を30畳はあるであろう
大きなリビングルームに通してくれた。


縦横3メーターはあると思われる巨大スクリーンには、
既に例の同期の両国が持ち込んだというビデオが堂々と
上映されており、その前の机には、宮田が持ち込んだ
日本酒がまるでお供え物のように大事に並べられていた。


そこには、大日本商事テヘラン支店の駐在員20名ほどと
数社のメーカーの日本からの出張者の方々がすでに
ずらりと勢ぞろいし、リビングのソファに腰を下ろして
既ににぎやかに一杯やっていた。


「よう!宮田」

「こんなところで会うとはな。 元気そうじゃないか」


同期の両国が声を掛けてきた。


お互いの入国審査での苦労話で花が咲き、イランへの
出張目的なんかで話が大いに盛り上がった。


宮田の所属している課の篠原由美子が人気があって、
目の前に座っている宮田がうらやましいとか気楽な
話題で盛り上がり、また、遠い異国の地で気楽に話せる
同期がいることで気分も和んでいたところへ、永井支店長が
突然立ち上がり、皆の前に一歩進んで威勢よく切り出した。


「皆さん!

このたびは、日本から遠く離れたこのイランの地へ
ようこそおいで下さいました。

本日は弊社が世界に誇ります2人の若手有望株であります
機械の宮田と石油の両国両氏のお陰で、このテヘランの地で
一大エンタテイメントをひらくことができました。

是非とも夜遅くまで存分にお楽しみいただきたいと思います!」


その後、改めて上機嫌の支店長の乾杯の音頭を皮切りに
どんちゃん騒ぎが始まり、興奮の絶頂に達した支店長は
自らスーツを脱いで上半身は裸で、下はステテコ一枚となり、
さらに頭にネクタイを鉢巻代わりに巻いて、リビングの中央で
得意のどじょうすくい踊りの真似事をして丸の内重工の皆様
から笑いを取っては、日本酒をあおるように飲んでいた。

「ピンポーン」

皆が盛り上がっているその時、突然玄関のベルが鳴った。

すぐに同期の両国が玄関に飛んでいってトビラを開けた。


そこには現地のイラン人電気工事屋が立っていた。


「こんにちは。電気工事に参りました。お昼に永井支店長
からお電話をいただき、リビングの天井のシャンデリアの
調子が悪いので本日夜に修理に来て欲しいという依頼を
受けて、ただいま参りました」


「ちょ、ちょっと待ってください」


両国は電気工事屋を玄関で待たせて、酔っぱらって
上機嫌でどじょうすくいを披露している支店長のところへ
一目散に駆け寄って、大声で叫んだ。

「永井さん! 電気工事屋が来ましたが、どうしましょうか?!」

その声を聞き踊りをピタリと踊りをやめた支店長は、
見る見る内に急に冷静になってこういった。


「えー?あー???、そうだった!
頼んでいたことをすっかり忘れてた!
こんな情景を見られては大変まずい。
す、すぐに帰ってもらい、後日出直すようにに言ってくれ! 
そして彼を家の外からすぐ出してくれたまえ!」


「わ、わかりました!」

両国はそう答えて、すぐに玄関に向かおうと踵を返したした
その時、すでに電気屋は気を利かして家の中まで
上がり込んできてしまっていたのだった。


イラン人電気屋は、リビングのドア入り口に立ち、
目の前で何十人もの日本人達がアルコールのにおいが
プンプンする部屋でお酒を飲みながらポルノビデオを見て
乱痴気騒ぎをしている部屋の一部始終を呆然と
直立不動の姿勢で見つめているところであった。

それを見た支店長が言った。


「あー、み、見られたあー!」


「ま、まずい!」

とっさにそう思った宮田は、両国に目配せして、その電気屋の
両脇を両国と一緒に一気に抱え込んで、家の外に一気に
連れ出した。


柔道仕込みの両国によって一気に外に放り出された電気屋は
頭を抱えて何かをつぶやきながら、こちらを振り向くことなく
「ワー!」と叫びながら一目散に走って支店長宅の表門から
闇の中に消え去っていった。


「あー、もうこれで終わりだ。
この伝統ある大日本商事テヘラン支店の歴史も今日の
この日で終わりだ・・・」


支店長の悲痛なつぶやきがむなしく宴に響いて行くのであった。

次回へ続く。

連載 営業マン小説 「商社マン しんちゃん。 走る!」 (17)

「商社マン しんちゃん。 走る!」
~営業マン小説:高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~

筆者の商社マン生活の実体験を小説風にしました。


大日本商事テヘラン支店は、機械、鉄鋼、石油などの
取引を中心とし日本人駐在員数20数名を誇る中東に
おける重要な支店である。


支店を構えて30年以上は経つ、大日本商事の海外支店
の中でも伝統のある海外支店のひとつであった。

「何だ?これは」

日本酒1ダースを宮田からすっと差し出された永井店長は、
目を丸くして言った。


税関でイラン人の検閲官と同じ言葉を発した。

「君は本当に日本酒を持って入国してきたのか???」

「は、はー・・・」
<そやかてあんたがそう言うてたやないけ・・・>


「今まで恒例行事として冗談半分で東京からの出張者に
日本酒の持ち込みをお願いはしてきた。
だが、東京側もだれも真剣に受け取ってくれないし、今までで
本当に持って来る人間なんて誰一人としていやしない。
イランの入国審査でとっつかまるのは目に見えているからね。
だからいつもジョークのつもりで打電していたんだ。 
本当に日本酒持って入国してきたのはこのテヘラン支店
30年以上の長い歴史の中でも宮田君、あんたが初めてだ!
それも12本とは!」


宮田は照れ隠しで頭をかいてみたが、これってほめられて
いるのか、馬鹿にされているのかわからないなと感じていた。


長らく日本酒を手にすることがなかったのであろうか、
うれしさのあまり段々興奮してきた支店長は続けた。


「宮田君。
さらに今日は、君の同期でドイツから同じく今日入国
してきた石油部の両国君は、なんと、ポルノビデオを
3本も持って入国してきた。それも貴重なドイツものだ。

あー、今日はなんと素晴らしい日であろうか!

イスラム諸国の中でも特に戒律の教えに忠実で厳しい
このイランの聖地に、日本の二人の勇気ある若者が、
危険を承知で素晴らしいものを持ち込んでくれた。

これはテヘラン店にとって歴史的な日となることだろう。

今日はもう仕事は終わりだ!
早速仕事を切り上げて、我が家で丸の内重工の
皆さんも呼んで、盛大に大日本酒ビデオパーティを
やろうではないか!」


永井支店長はその場で失神してもおかしくないくらい興奮しきって
叫んでいた。

永井支店長の普段の生活が相当抑圧されたものであることは
容易に想像できた。


<アホちゃうか。このおっさん・・・こういう環境で駐在して
いると、こうなるんかなー。こーだけにはなりとうないわ>


支店長宅は、1000坪はあろうかという大豪邸で、日本
企業の支店長クラスはほとんどがこの手の大邸宅を
会社資産として所有し住んでいた。


支店長宅は、運悪くイランの最高指導者ホメイニ氏の
自宅に程近いところの豪邸街にあった。


これが影響してか、支店長宅の周りには多数の瓦礫の
山と大きな穴が無数にあいていた。


支店長宅の周辺が荒れている理由は明快だった。


テヘランの町のすぐ北には5671mもあるダマヴァンド山
という主峰を筆頭に4000mから5000m級の大きな
山脈が連なっている。


ホメイニ氏の自宅を狙って空爆を仕掛けてくるイラク
戦闘爆撃機は、まず急降下してホメイニ氏宅を狙って
ピンポイントで爆弾を落とそうとする。


だが、直前にそびえるこの巨大山脈が邪魔して、降下
体制を長時間維持できずに仕方なくホメイニ氏の自宅の
手前で爆弾を早めにリリースしまうのであった。


その理由は、そのまま低空飛行を続けていると戦闘機が
山脈に激突してしまう恐れがあるからである。


仕方なく早めに落としてしまう場所がちょうど支店長宅の
ある場所にあたっていたので、たびたび会わなくてもいい
爆弾の被害を受けていた。


だが奇跡的に支店長宅への直接的な被害は免れていた。


いったんホテルに戻って、丸の内重工の皆様をお連れ
して支店長宅に着くと、夜の7時は過ぎていた。


次回へ続く。

連載 営業マン小説 「商社マン しんちゃん。 走る!」 (16)

「商社マン しんちゃん。 走る!」
~営業マン小説:高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~

筆者の商社マン生活の実体験を小説風にしました。

「これは何だ!?」


係官が疑いの眼で聞いてきた。


その時宮田はとっさに答えた。


「こ、これはTAMAN(田万)という
ジャパニーズライスジュースだ!」


「ライスジュースだと? それではこれは何だ?」


係官が指し示すラベルの先の数字の前後には、
カタカナと漢字でこう書いてあった。


(アルコール分25度)


幸運にもアルコールという文字が英語でかかれて
いなかったことをとっさに宮田は確認して堂々と
こう言い切った。


「米の成分が25%ということだ」


係官は、宮田の返事に一瞬怪訝な顔をしたが、次々と
紙パックを手にしてしきりに振って、ちゃぷちゃぷという音を
何度も立てながら、他の同僚係官となにやら話してから
最終的に宮田にこういった。


「検査は終了だ。週刊誌だけ没収する。
スーツケースのふたをして行ってよろしい」


検査自体はものの20分ぐらいだったが、宮田にとっては
数時間に感じられた。

終わったときには汗だくで放心状態であった。

税関を無事めでたく通過した宮田は、バゲッジクレーム
(荷物受け取り場)で心配そうに待っていた内村技師と
合流した。


「宮田さん。絶対出て来れないと思ってました。
よかった。よかった。 本当によかった。 
それにしても日本酒を12本もこのイランに持ち込んだなんて。
私も中東での仕事長いけどそんな日本人見たのは宮田さんが
初めてだ」


空港から外に出て天を仰いで見ると、9月のテヘラン市内は、
標高が高いこともあって、紺青色に澄んだ青空が広がる
とても気持ちのいい天気に覆われていた。

街中は、オートバイや車が多数走り回り、歩道には多くの
露店や通行人であふれかえってにぎわっており、
とても戦時中とは思えないほど活気に満ちており、
もっと暗いイメージをもっていた宮田は逆に平和な感じが
する街中を見て拍子抜けした。


宮田がチェックインしたホテルは、テヘランでも有数の
高級ホテルで、ロビーの大きな壁一面に

「打倒!アメリカ。 打倒!イラク」

という垂れ幕が掛けられている以外は豪華でゆったりした
ロビーをもった快適なホテルであった。

入国審査での大仕事の際の緊張感から開放された宮田は、
長旅を癒そうとしてロビーでゆっくりとくつろいでコーヒーを
すすっていた。

その時、数人の男たちに突然囲まれた。

全員が、重機関銃を持った屈強な兵士であった。
彼らは、宮田の回りを取り囲んだあと、驚く宮田に
こう言った。


「宿泊客か?」


「え・・・。 そうだが・・・?」


「我々は革命防衛隊のものだ。
お前の服装には大きな問題がある。
イスラムの戒律では、男も足や腕を出してはいけない。
すぐに長袖、長ズボンに着替えてもらいたい!」


そういわれて宮田は自分がTシャツ、短パン、草履姿で
座っていることを自覚した。

日本酒の指示だけしかなかったテヘランテンの総務を
恨んだ。


「わかった。すぐに部屋に行って着替えてくる」


「No!
本当に着替えるかどうか、部屋まで同行する!」


かくして自分の部屋まで連行され、数人の屈強な
銃を持った兵士に取り囲まれながら、素っ裸になって
着替えを余儀なくされた宮田は、


<とんでもない国に来てもうた。 ほんまに俺は異国の地
にいるんや・・・・>


ということを強烈に意識した。

部屋の壁には、空港の入国審査へと向かう通路に
あったのと同じホメイニ帥の写真が飾られ、宮田を
睨みつけていた。 

部屋の外からは、毎日定時になると街角のスピーカー
から流される、コーランの物悲しい旋律が聞こえてくるの
であった。


<何で一日で2回も人前でパンツ一丁にならなあかんのやろ・・・>


その日の夜は、無事持ち込んだ日本酒1ダースを大事に
かばんに隠し持ちながら、依頼した張本人である永井支店長の
待つ大日本商事テヘラン支店へタクシーを飛ばしていた。


次回へ続く。

連載 営業マン小説 「商社マン しんちゃん。 走る!」 (15)

「商社マン しんちゃん。 走る!」
~営業マン小説:高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~

筆者の商社マン生活の実体験を小説風にしました。


「こ、これが戦時体制の空港か!」


バンコック経由ドバイで一泊し、翌日イラン航空機でやっと
2日間かけてテヘラン空港に到着し、入国審査窓口に
向かった宮田は驚いた。

税関の係官がいる検問所への通路の両側に重機関銃で
武装した兵士が何人もずらりと並んで、入国審査待ちの
乗客を睨みつけて立っている。

成田空港では到底考えられないようなその威圧感からくる
重苦しい緊張感の漂う空気に触れたその時て、初めて
宮田は心のそこから後悔した。


<あー。日本酒なんか持ってくるんやなかった。あー・・・・>


後悔先に立たずとはこのことである。


兵士が並んで立っている後ろの壁にはイランの高名な
宗教・政治指導者であるホメイニ師の大きな顔写真が
ずらりと飾られている。


「宮田さん!!。お酒、大丈夫ですかね?
この雰囲気だと見つかったらただじゃすまされないですよ・・・」


一緒に東京から現地入りした、丸の内重工のベテラン技師
である内村が心配そうに尋ねてきた。


「かといって、今ここで飛行機に戻ってずっと隠れているわけ
にも行きませんし。
捨てるといっても、この兵隊の列の中では・・・。 
なるようにしかならないですよ!」

宮田は虚勢を張って答えた。


「Next!」


ついに宮田の順番がやってきた。
係官が大きな声で指示した。


「Open!」


宮田はスーツケースのフタをそっと開けながら祈った。


<どうぞ神様。仏様。 見つかりませんように>


日本の神様が逃げ切るか。
イスラムの神様がそれを阻止するか。
ふたつにひとつである。


立派な口ひげを蓄えた長身のイラン人係官は、いくつかの
荷物に触れ、ごそごそと調べた後、意外にもすぐにふたを
パタンとしめて、

「OK. You can go」

とあっけなく言った。


宮田と、横にいた内村技師は顔を見合わせ、
ほっとした。


「サ、サンキュー!」


<やった!助かったやないの!>


小躍りしそうになるのを押さえて、努めて冷静さを
装いながら、その場を敢えてゆっくり立ち去ろうとした
その時、係官が宮田を呼び止めた。


「Wait!  What is that?  Show me!」


そう言って係官が指差したのは、宮田が手に持っていた
日本の若者向け男性週刊誌であった。

係官が週刊誌を手にとって最初のページをめくった。
そこには、女性の鮮やかな水着写真が飛び出してきた。

係官の顔色がだんだんと赤くなってくるのを宮田は
見ていた。

係官は週刊誌を持ったまますぐに奥の部屋に去っていき、
すぐに仲間の係官数人と共に宮田のところに戻ってきて
こう言い放った。


「お前の持っている週刊誌はイスラムの戒律違反である。
再度お前の全ての持ち物ならびに身体の検査を徹底的に
行うことにする。
奥の個室に連行し、そこで取調べを行う!」


<し、しもた!週刊誌でひっかかるとは・・・>

とっさに宮田は、その本欲しければ君にあげると
言おうとしたが、そんなことで流れが変わるはずもないと
悟って観念した。


<なるようになれ!>


こうなっては開き直るしかない。 
先ほど内村技師に言った言葉を思い出していた。
個室に入ると再びスーツケースを開けられ、今度は
中身をひとつ残らず出されて、全て机の上に並べられた。

宮田はパンツ一枚の格好で立たされた。

いよいよ問題の日本酒をつつんでいるタオルに係官が
手を掛けた。

宮田自身さえもいかにも怪しげだなと感じるような荷姿を
係官が目にしたとき、係官もこれは極めて怪しいと感じたのか、
他の数人の同僚係官にあごで合図を送り、一緒に確認
するよう依頼した。


「開けろ!」


係官の指示に従って、タオルや紙をはがして、丸裸となった
日本酒の紙パックを係官に手渡した。

紙パックの表面には日本語で、(清酒田万)と、見事に立派な
太い字で描かれている。

係官が数人がかりで紙パックの外装の表面をなめるようにして
観察している。


「これは何だ!?」

係官が疑いの眼で聞いてきた。


次回へ続く。

連載 営業マン小説 「商社マン しんちゃん。 走る!」 (14)

「商社マン しんちゃん。 走る!」
~営業マン小説:高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~

筆者の商社マン生活の実体験を小説風にしました。


「宮田くん。どこに出張?」


「イランって言われました。」


「えー!? イ、イラン??? 
それは、・・・大変!」


宮田は心のなかで叫んだ。

<よりによって初めての外国、初めての海外出張が
イランとは!
アメリカやヨーロッパはどこへいったんか!?ほんま!>


当時イランはイラン・イラク戦争の真っ只中であった。
米ソを中心とする世界的な冷戦構造が続く中、旧ソ連が
イランを、米国がイラクを政治的・軍事的に支援しており、
イラン・イラク戦争は実際は背後の大国が操る泥沼の
戦争の様相を呈していた。

特に米国の全面的支援を受けているイラクは、
フセイン大統領のカリスマ性もあいまって、イランに
対して圧倒的な武力攻撃をしかけ戦況を有利に展開して
いた。

一方のイランは、旧ソ連から譲り受けた旧式の装備が
中心であるため劣勢に立たされ、国境を越えて音速で
侵入してくる最新鋭のイラク爆撃戦闘機による空爆が
首都テヘランやイラク国境付近で頻繁に起こっており、
日系企業主導の幾つかの火力発電プロジェクトなどが
イラク軍の爆撃の被害にあうという報道が連日のように
日本でもなされていた。

今回の出張はまさに空爆のさなかの首都テヘランで
あったのだ。


「おい、宮田。今回の出張は、お前も関与しているイラン
でも有数の企業であるアルミニウム オブ イラン
(Aluminium of Iran Co.Ltd、通称アロイコ{ALOICO})
の案件だ。

今、イランでは民需用の圧延製品の需要が大きく
伸びている。
特にアルミ箔やアルミニウム缶や自動車のラジエータ用途
などの需要であり、アロイコはその需要を大きく取り込もうと
しており、それに必要な設備能力の増強のために圧延機を
必要としている。
そのためのプロジェクトだ。
うちはこの分野で有数の実績を誇る丸の内重工業と
コンソーシアムを組んで参画している。
先日国際テンダー(入札)があり、うちのコンソーシアムは
丸の内重工の圧延機一式をフルターンキーベースで
50億円という数字で応札した。
この入札書類は一部お前にも手伝ってもらった。
第一次価格審査はおかげさまで無事通り、今回は、
第二次審査である技術検討会がテヘランのアロイコ本社で
行われ、うちのコンソーシアムも呼ばれている。
この技術検討会の結果がよければ大きく受注の可能性が
高まる。
これに丸の内重工の技術者らと同行願いたいのだ」

淡々と説明を進める関の顔を見つめながら、宮田は
本当にイランに行くんだ、というより行かされるんだと
覚悟を決めていった。


「宮田よ。現地のテヘラン支店長である永井さんから
テレックスが入っている。
今回東京から来る出張者、つまりお前に持ってきて
もらいたいものがあるらしい。
内容をよく読んでできるだけ持って行って差しあげろ。
何せ現地は戦時状態の上に、中東でももっとも厳しい
イスラムの戒律を守っている国家のひとつだからな。
そんな国での駐在生活というのは色々不自由があるもんだ」
 

宮田は、出張を翌週末に控えた土曜日、京浜東北線
大井町にある独身寮の近くにあるスーパーの日本酒
売り場で、幾つかの日本酒を手にとって見比べながら
悩んでいた。


大日本商事テヘラン支店長永井から関へのの御願いは
こうであった。


「KIHO KARANO SHUCCHOUSHA NI ONEGAI ARI Z
NIHONNSHU WO ONE DOZEN JISAN SARETASHI Z
TSUKAN NIHA JYUUBUN CHUUI SARETASHI Z
YORO ONEGAI SHIMASU ZZKOOUN WO INORU 」


要は
「入国審査に十分注意して日本酒を1ダース持ってきて
欲しいのでよろしく」
という御願いであった。


宮田はイスラム圏の国にアルコールを持ち込むという
ことで一瞬嫌な予感がしたが、店長自らの御願いでも
あり、何とかしようとして、できるだけ外見が日本酒に
見えないものをデパートで探していたのであった。

このことが後でどれほどの災難に発展するかも全く
知らずにいた宮田であった。

当時、日本酒は、昔からの一升瓶に取って代わり、
紙パックスタイルのものが世の中に出回りだしていた。


「紙パックだったら、わからないだろう」


そう考えた宮田は、紙パックスタイルの日本酒で、
(田万)という銘柄を12本購入して、寮の部屋で一本
ずつていねいに紙で包み、さらにそれを白いタオルで
くるんで、海外出張用のスーツケースの一番下にずらりと
並べて、さらに全体をバスタオルで隠すようにして詰めた。

次回へ続く

連載 営業マン小説 「商社マン しんちゃん。 走る!」 (17)

「商社マン しんちゃん。 走る!」
~営業マン小説:高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~

筆者の商社マン生活の実体験を小説風にしました。


その日の夜は、無事持ち込んだ日本酒1ダースを大事に
かばんにひた隠しながら、依頼した張本人である
永井支店長の待つ大日本商事テヘラン支店へタクシーを
飛ばしていた。


大日本商事テヘラン支店は、機械、鉄鋼、石油などの
取引を中心とし日本人駐在員数20数名を誇る中東に
おける重要な支店であり、支店を構えて30年以上は
経つ大日本商事の海外支店の中でも伝統のある
海外支店のひとつであった。


「何だ?これは!」


日本酒1ダースを宮田からすっと差し出された永井店長は、
目を丸くして言った。


「君は本当に日本酒を持って入国してきたのか???」


「え? えー・・・」


「今まで恒例行事として冗談半分で東京からの
出張者に日本酒の持ち込みをお願いはしてきたが、
東京側も、だれも真剣に受け取ってくれないし、
それを真に受けて本当に持って来る人間なんて、
誰一人としていやしない。
イランの入国審査でとっつかまるのは目に見えて
いるからね。

だからいつもジョークのつもりで打電していたんだ。 

本当に日本酒持って入国してきたのはこのテヘラン
支店30年以上の長い歴史の中でも、宮田君、
あんたが初めてだ! それも12本とは!」


宮田は照れ隠しで頭をかいてみたが、これってほめられて
いるのか、馬鹿にされているのかわからないなと感じていた。

長らく日本酒を手にすることがなかったのであろうか、うれしさ
のあまり段々興奮してきた支店長は続けた。


「宮田君。さらに今日は、君の同期でドイツから同じく今日
入国してきた石油部の両国君は、なんと、ポルノビデオを
3本も持って入国してきた。 それも貴重なドイツものだ。

あー、今日はなんと素晴らしい日であろうか!

イスラム諸国の中でも特に戒律の教えに忠実で厳しい
このイランの聖地に、日本の二人の勇気ある若者が、危険を
承知で素晴らしいものを持ち込んでくれた。

これはテヘラン店にとって歴史的な日となることだろう。
今日はもう仕事は終わりだ!早速仕事を切り上げて、
我が家で、丸の内重工の皆さんも呼んで、盛大に大日本酒
ビデオパーティをやろうではないか!」


永井支店長は、普段の生活が相当抑圧されたものであるらしく、
その場で失神してもおかしくないくらい興奮しきって叫んでいた。


<アホちゃうか。このおっさん・・・こういう環境で駐在していると、
こうなるんかなー>


支店長宅は、1000坪はあろうかという大豪邸で、日本企業の
支店長クラスはほとんどがこの手の大邸宅を会社資産として
所有し住んでいた。


支店長宅は、運悪くイランの最高指導者ホメイニ氏の自宅に
程近いところの豪邸街にあった。 

これが影響してか、支店長宅の周りには多数の瓦礫の山と
大きな穴が無数にあいていた。

支店長宅の周辺が荒れている理由は明快だった。 

テヘランの町のすぐ北には、5671mもあるダマヴァンド山
という主峰を筆頭に、4000mから5000m級の大きな山脈
が連なっている。

ホメイニ氏の自宅を狙って空爆を仕掛けてくるイラク側
戦闘爆撃機は、まず急降下してホメイニ氏宅を狙って
ピンポイントで爆弾を落とそうとするのだが、直前にそびえる
この巨大山脈が邪魔して、降下体制を長時間維持できずに
仕方なくホメイニ氏の自宅の手前で爆弾を早めに
リリースしまうのであった。

理由は、そのまま低空飛行を続けていると戦闘機が山脈に
激突してしまう恐れがあるからである。

仕方なく早めに落としてしまう場所がちょうど支店長宅のある場所
にあたっていたので、たびたび会わなくてもいい爆弾の被害を
受けていた。

だが奇跡的に支店長宅への直接的な被害は免れていた。


次回へ続く。

連載 営業マン小説 「商社マン しんちゃん。 走る!」 (13)

「商社マン しんちゃん。 走る!」
~営業マン小説:高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~

筆者の商社マン生活の実体験を小説風にしました。


第三章 初めての海外出張


柴田の話を聞いて興奮した新人時代からからあっという
間に3年という月日が経っていた。

お客様のさらにその先にいるお客様や、市場のニーズ
から把握するという考え方を頭の隅に叩き込んだ宮田は、
その後、日本非鉄金属の狙うべき市場ニーズに目を
つけて、日々の営業活動を行うよう努力していった。

その結果、徐々にではあるが、最初は冷たかった
鹿沼工場の人々も、宮田がもってくる話に耳を傾けて
くれるようになり、行けば向こうから


「宮田さん。今日は何か面白い話ないの? 欧米の客の
動きとか?」


と声を掛けてくれる資材部や設備部の人も現れてきた。

圧延機などの大型商談こそまだ扱う実力には至らない
ものの、中規模程度の設備商談には、関の荒っぽい
指導の下、何とかこなせる実力がついてきたようで
あった。


宮田は、先輩の関がかってアルミ缶のニーズに目を
つけたと同様、日本非鉄金属自身が次に着目しなくては
ならないニーズを必死で探そうとしていた。


鹿沼工場に通う以上に頻繁に柴田や同期の森永らが
いる非鉄金属製品部に足しげく通って情報交換や
相談をしていた。

日本非鉄金属協会など公的な関連機関にも訪問して
情報収集を行った。


日本非鉄金属という会社にも歴史があり、企業戦略がある。
その流れに乗ったものでないとダメだ。 
突飛な提案は受け入れられない。日本非鉄金属だから
こその流れがある。
その先のニーズを探さなくてはダメだ。 
さらに最後には大日本商事が大型プラント・設備受注に
結び付くようシナリオでないといけないと考えていた。

色々資料は集まってきた。

ある日、集めてきた資料を前ににして頭を抱えていた
ところ、入社したての頃赤坂での食事に誘ってくれた
マイクが声を掛けてきた。


マイクは、その後コーチ役として宮田の指導をして
くれている。


「やー、相変わらず頑張っているようやね。 
どないですか?」


ハンガリー向けアルミ鋳物部品プラントの入札のため
一ヶ月近い海外出張から帰国したばかりのマイクが、
例によって優しくて奥の深い包容力のある青い目を
輝かせながら、宮田を見て微笑んでいた。


宮田は、一緒に仕事上で組んでおり、人事上いわゆる
指導員と位置づけられている関には、どうしても自分の
弱みを見せたくないと思うのか、素直に色々聞けない
のだが、このマイクにはいつも本音で困ったことは
相談してみようという気になっていた。


宮田は自分が抱えている課題、日本非鉄金属工業の
ニーズという壮大なテーマで行き詰っており、いい
方向性が出ないで悩んでいると相談してみた。


「宮田君。ええ質問やね。
あんた、マーケティング志向で取り組んでいるようで、
ほんまええわ! 実にええね」


マイクは、宮田の机の上の資料の山をちらっと見て
さらにこう続けた。


「相当資料を集めたようやね。 そういうときは、
ここは一旦、木を見て森を見ずとならんように、敢えて
大所高所で物事を見てみてはどうやろ?

自分も枝葉に入り込んで森が見えなくなったときに
ようく使うんやけど、単純やが使いやすい考え方が
ありまんねんで。

{What we have done}
{Where we are} 
{To where we have to go}
というステップで考えてみてはどうやろ?

日本非鉄金属は、今までの歴史で何をしてきはった
のか? その結果いまどこにいはるのか?
これからどこに向かおうとしはってるんか?」


宮田は、マイクからヒントをもらったお陰で次の
ステップに進めそうだと感じていた。


そこへ、関から声が掛った。


「おーい。宮田。ちょっとこっちへこい。 
出張の件で話がある」


突然関に呼ばれ振り返ると、課長の細川の机の
ところに関が立っており、課長と一緒にこっちを見て
手招きしている。

また、どこかの国内の地方都市への出張かと思って、
細川と関のところへ歩み寄った。


「何でしょうか?」


「そろそろ君に海外出張に行ってもらおうと思っている」

思いもよらぬことを細川課長が切り出した。

すでに同期の連中の大半は海外ビジネスを中心に
任され、一部の連中は中国などに駐在を命ぜられるなど
して海外を飛び回っていたので、その連中に大きく
後れを取っていたと感じてきた宮田にとっては、
細川課長のその一言に、いよいよ念願のその日が
来たかと心中

「やった!」

飛び上がらんばかりのうれしい思いであった。

大学時代にあこがれていた海外との仕事。

頭の中にニューヨークのマンハッタンの高層ビル、
霧のゴールデンゲートブリッジの鮮やかで華麗な姿、
はたまた英国のロンドンブリッジの豪華な偉容

などが横切った。


「ありがとうございます!がんばります!
ところで、どこへ出張するのでしょうか?」


「イランだ」


関がニヤニヤしながら言った。


「は? イ、 イラン・・・ですか? あの中東の?」


「ばっきゃろー。他にどこにイランがあるってんだ。
イランといえば世界にひとつしかなかろうが」


「あのー。 お言葉ですがイランは今イラクと交戦中で、
戦時中ではなかったでしょうか?」


「だからどうした。いやならいいんだぞ。
イランはいらんってか?」

<しょ、しょーもな!>と思いながらも言い切ってしまった。


「いえ、行かせてください。がんばります!」

その言葉を聞いた細川課長が間髪入れずに言った。


「ではがんばって行ってきてくれたまえ。
あそこにうちの大事なお得意さんがあることは
君も知っていると思う。
出張の目的は関さんと十分打ち合わせをするように。

それと、現地は危険地域に指定されているので、
万が一のことも考えて安全対策に関しては人事部と
事前に十分相談するように。

ちなみに、そういうことだから危険地手当もでるはずだ。」


細川課長にそう言われ、ポンと肩をたたかれた宮田は、
とぼとぼと自分の席に戻った。


<し、しもた! 安請け合いする前に、先に行き先
聞けばよかった!>

勢いで、 「行きます!」 なんて即答するんじゃなかったと
後悔した。

目の前に座っている篠原由美子が心配そうな顔で
こちらをチラチラと見ている。

「宮田くん。どこに出張?」

「イランって言われました。」

「えー!? イ、イラン?  それは、・・・大変!」


次回に続く。

連載 営業マン小説 「商社マン しんちゃん。 走る!」 (12)

「商社マン しんちゃん。 走る!」
~営業マン小説:高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~

筆者の商社マン生活の実体験を小説風にしました。


「それでは質問です。関が目をつけたニーズとはいったい何だったでしょう?」


宮田と森永は目を合わせた。


宮田が恐る恐る言った。


「えーと、ジュースなんかの清涼飲料水やビールに、管理やリサイクルが
難しいガラスが使われなくなってきたという世の中の状況があったり、
とはいっても鉄は錆びやすかったり、運ぶのに重い、リサイクルしにくい
という状況があったのだと思います」


「ご名答」


「そうだね。世の中が環境問題や健康問題にナーバスになってきて、
環境にやさしくクリーンなイメージを持つアルミニウムを必要とする
社会的背景が整ってきたという状況だね」


宮田は、自分の発言に対して,会社に入って初めてほめられたので、
内心秘かにうれしかった。


「いかに総合商社といえども、このニーズを直接満たすことや、
作り出したりすることは出来ない。

だけど、このニーズを明確にし、ウォンツに影響を与えていくことは
商社だってできるんだ。

関は、このニーズを他の代替品の中からアルミニウムを選択するように
イノベータ(革新者)に働きかけたのだ。

この辺りからマーケティング戦略ということになるかな。

アルミニウムが欲しいというウォンツをイノベータに植え付けることに
成功した。
 
具体的にどのようにしたかというと、関は2年以上も俺と組んで、俺の
お客先回りをしたんだ。

国内外のビール会社からイノベータと呼ばれる会社を2-3社に絞り、
徹底的にアルミニウムのアドバンテージを説いて回った」


「イノベータとは何ですか?」


宮田が聞いた。


「お前ら本当にマーケティングの本を読めよ。
どこにでも書いてあるぞ。 

スタンフォード大学のロジャースという教授が
説いているイノベータ理論というのがある。

イノベータとはそこに定義されているのだが、ある技術や製品が市場に
浸透していく過程で、それを採用する態度によって購入者、採用者を
分類しているんだ」


<商社マンも理論武装っちゅうもんをせなあかのやな・・・>


柴田は続けた。


「イノベータは市場全体の2.5%程度で、とにかく新しいものに興
味があり、お金も持っている。

社会通念にとらわれず、新しい技術やノウハウを使い始めることを
好む集団をさすんだ。

その次に来るのが、新しい技術が社会的に大きく採用される下地を
打つ存在であるオピニオンリーダー(13.5%)だ。
文字通りオピニオンリーダーとなる会社である。

彼らは、業界のドライバーとなって、あそこが使ったんだから問題ない
だろうと、他の企業が見習うような会社である。


そして、そのオピニオンリーダーが採用するや否や採用するアーリー
アダプター(34%)という集団がいる。
{みんなが使っているから派}とでも言おうか。


そのあとには、新しい技術に慎重で、市場に十分出回るまで採用を
手控える集団であるフォロワー(34%)がいて、最後が新しいものや
ハイテク嫌いで保守的なラガード(伝統主義者16%)という分類となる」


宮田は、商社がそんな分類でもってお客を区別しているとは全く
知らなかった。

<商社っちゅうのんは、一見大味なビジネススタイルに見えるけど、
結構繊細に冷静に顧客を分類・分析しているんや・・>

「案の定、業界ではアルミニウムへのウォンツがイノベータや
ピニオンリーダーのお陰で高まって、そして、幾つかの大企業が
具体的に予算をとった形でのアルミニウムへの引き合い、つまり
デマンドとなって現れた。

そこに、俺と関はあらかじめ計画しておいた戦略通りに日本非鉄
金属の製品販売部隊のトップを引き合わせ、大口の引き合いを獲得した。

日本非鉄金属は、そうなると当然その引き合いに見合う生産量を新たに
確保しなくてはならないよな。

そのため、新たな圧延設備能力の増強という計画を立てる必要に
迫られることになる。

そこで、関と俺は、日本非鉄金属と一緒になって必要な生産量や
設備能力などのコンサルティングを行うと共に、新たに購入が必要
となる原材料であるアルミインゴットの調達先なども紹介し、プロジェクト
全体のプロデュースを行い、さらに、メーカーの選定プロセスや選定
基準までの道筋を描くわけだ。

その間、一方でその能力を満たすであろうメーカーにも内々に声をかけ、
わが社の強い立場を説明し、独占的に協業することを取り付けて、その
メーカーに応札準備を進めさせる。
 
結果、本社調達部から引き合いが出る頃には、わが社は日本非鉄金属と
メーカーの両方から切っても切れない大事なパートナーという位置づけを
得ている状態になり、自然と主契約者として商流に入り込むことになる。

なぜなら、市場からの声を背景にアルミニウムというデマンドを業界に
引っ張り出した張本人だからな。

お客、メーカーどちらにとってもわが社との連携はアドバンテージになる
からだ。

もっと言うなら、一般消費者も味方だよな。 市場や社会的背景から、
ニーズ、ウォンツ、デマンド、お客のお客、販売チャネル、製品仕様など
何でも知っているわけだから、不要なわけがない。

したがって、関は一度もお客に売り込まずに何百億円の設備を売った
わけだ。

要はビジネスをプロデュースした結果の売り込みであるということだ。
これを業界では出来レースともいう」


宮田はキーワードを思いついた。


売りたければ売り込むな!


<そうや! 売りたければ売り込みに行ってはあかんのや。 
これや! 
売りたかったら売り込んだらあかんというこっちゃ。これや。これ!>


このことは彼なりにマーケティングの極意だと思った。

それと、以前赤坂の夜、マイクが言っていたビジネスプロデューサー
という意味がなんとなくわかったような気がした。


「柴田さん。ひとつ言わせて下さい。

そのプロジェクトは、たまたま関さんと柴田さんという優秀な商社マンが、
たまたまうまくコンビを組んだから出来たのでしょう? 

とても自分には
そんな大それたことをやる自信がありません・・・」


宮田は正直に気持ちを語ってみた。

実際、横で汗を書きながらメモをとっている森永とそんなことを
やっている姿をイメージしようとしたが、何度やっても鮮明なイメージが
見えてこなかった。


「そんなことはない。何も特別なことをやってきたわけじゃないよ。

要はそういう意識をもって日常の雑事に対処しているかどうかが大事なんだ。

普段やることは地味なことの繰り返しだが、そこに確固たる戦略をもって
行動するかどうかが大事なんだよ。

君だってさっき関が目をつけたニーズを俺が質問したら、見事に
言い当てたじゃないか」


「はい。確かに」


「あれが戦略の取っ掛かりなんだ。

あそこに目をつけるということそのものが、とても大事なことなんだ
ということを商社マンは知っている。

君は大学を優秀な成績で卒業し、頭脳明晰で知能指数も高く頭は
誰よりも冴えわたっているエリートだと自分のことを思っているかい?」


宮田は、頭がシャーベット状態であるといわれた関の言葉を思い出し
ながら、頭を横に振っていた。


横を見ると同期の森永も、もっと強く頭を横に振っていた。

むしろその逆であるといった方が正しいように思った。


「だろう。森永だって柔道ばっかりやってきて、脳みそが筋肉だと
からかわれているよね。

俺だって、関だって同じだ。

別に特段優れた営業マンでもサラリーマンでもない。

ただ、商社マンとしてやるべきことはきちんとやった。その違いだけだ」


「それは何でしょうか?」


「戦略を立てること。 

そして、いったん立てたらそれを地道に確実に実行することだ。

戦略は実行するために戦術に落とす必要がある。

いわゆる実行プランだ。

この実行プランを、使命をかけて行うことが大事なんだ。

ところで、{実行}や{使命}という字を見てどう思う?」


宮田は、会話の最初から柴田の突然本質を突いた質問攻めに
戸惑いながらも、自分の知的想像力にだんだん火がついていくのを
感じていた。


<実行・・・、 使命・・・。
いつも簡単に口走ってる言葉やけど・・・。
どう思うていわれても答えようないな・・・>


「実行という字は{実際に行う}ということだ。

いくら素晴らしい戦略を描いても実際に行動に移さないと意味がない。

総合商社という環境は幸か不幸かよく出来ていて、考えるだけでは
給料をもらえないよ。

机と電話しかない環境に日柄座っていても仕方ないから外に出る
しかない。

自然と行動するしかない環境なんだな。 
評論家はいらない。
実際に自ら現場に飛び込んで、自分の目で見て、肌で感じて、
生身の相手とやりとりをして行く先を切り開いて行動するのが
商社マンだ。

それともうひとつ。

{使命}という文字。

よく、{あの人は、使命感にあふれている}とか、{使命感に燃えた人}とか
いう用途で使われる。

その人の行動を賞賛するケースがほとんどであるよな。

字を分解すると、{命を使う}となる。 

宮田君。この意味判るか?」


「命を使う・・・ですか?」


「そうだ。文字通り命を使うほど真剣に行うということだ。

これが商社マンの本質的な行動原理なんだ。

実際海外の発展途上国などで事故や戦争、テロなどで怪我をしたり、
最悪、命を失った先輩も少なくないからな」


宮田の心の中には、柴田の話を聞いていて、いろいろ困難はあるけれど、
早く海外に行って、見ず知らずの異国の地で、思いきりビジネスをし、
結果としてその国の人々の喜ぶ顔を見てみたいという思いが
沸々と湧いてくるのであった。


次回に続く。

連載 営業マン小説 「商社マン しんちゃん。 走る!」 (11)


「商社マン しんちゃん。 走る!」
~営業マン小説:高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~

筆者の商社マン生活の実体験を小説風にしました。


翌日早速森永から電話がきた。


「宮田。柴田さんが今なら時間取れると行っている。すぐあがって来いよ」


非鉄金属本部のある15階に、9階から脱兎のごとく駆け上がった宮田は、
森永から柴田を紹介された。


「関さんの下でやっています、新人の宮田です。よろしく御願いします」


「おう、よろしく。君のことは関から聞いているよ。 関と俺は同じ大学出身で
同期なんでな。 で、何を知りたいんだ?」


しわがれた声で柴田が尋ねた。

柴田は、身長185cm程もある大柄な体格で、髪はオールバック、きらきら光る
銀縁めがねの奥から知的な感じのする眼光が放たれていた。

「はい。日本非鉄金属の鹿沼工場の設備や機械関係の売込みを担当し、
毎日色々な設備のカタログを持参して売り込みのトライをしているのですが、
ぜんぜん相手にされずうまく進みません。 

誠に恥ずかしい話なんですが、正直何をどう売っていいのか皆目わからず、
困っています。 関さんに相談しても、{そんなこと、自分で考えろ!}
の一言で終わりですし・・・」


「ははは。あいつらしいな」


「機械の売り込みのことを非鉄製品の販売の方に聞くのもおかしいのですが、
よろしく御願いします」

そういいながら宮田はぺこっと頭を下げた。


「全然おかしくないよ。むしろ当たり前のことだ。もっと早くくればよかったのに」


宮田は柴田の言葉に驚いた。 
柴田は笑顔から急にまじめな顔となって続けた。


「宮田君。 君にひとつ聞くが、日本非鉄金属の鹿沼工場は、わが社から
何を買いたいと思っているのかな?」


「何をって。 高性能で優秀な機械や設備を安く買いたいと思っていると思います」


「そうなのかな? それなら別にうちじゃなくても中堅の工具商社や、
メーカーさんと直接交渉して買えばいいんじゃないかな?」


宮田は柴田からそう言われて、以前関から自分のやり方を中小工具商と同じだと
叱られたことを思い出した。


「君がもしそう思い込んでいるとしたら、君はその考え方を変えない限り、
何年やっても一件たりとも大型の設備商談をまとめることは出来ないよ。
それと、もうひとつ聞くよ。 日本非鉄金属という会社は、何をしている会社かな?」


「何をって・・・。 アルミニウムや銅などの非鉄製品を製造し販売している会社
じゃないんですか?」


<そこまで馬鹿にせんでもええやん>


宮田はそんなこと知っているといわんばかりにちょっとむっとして答えた。


「そう。 その通り。 では、どんな製品をどのユーザーに販売しているのか
具体的に知っているかい?」


「えーっと。確かアルミの缶となる圧延製品を、色々なところに販売しています。
具体的にどこかはよく知りません」


「その程度しか知らないのは困りものだな。 それでは聞くが、そもそも君は
アルミニウムという金属をどれだけわかっているかい?」


「えーと。 鉄とは違う金属で、色は銀色のような色をしており・・・」


柴田は、これ以上宮田から何も出てこないころ合いまで待ってから、話を進めた。


「アルミニウムという金属は、比重が2.7と他の金属と比べてとても軽いんだ。
例えば、鉄は7.8、銅は8.9だ。また、比強度も他の金属と比べて優れている。
単位重量当りの強度が大きいということだ。  また、錆びにくいし熱伝導性にも
優れている。  

このように鉄などと違う金属特性を生かして、社会のいたるところで活用され
ようとしている。

例えば、鹿沼工場で生産している圧延品の場合、ビールや飲料水の缶以外にも、
自動車のパネル、アルミホウィール、ラジエーター、熱交換器、家庭用として、
あるいはタバコなどの包装用銀紙などに使われるアルミ箔、コンピューター用
ハードディスクドライブ(HDD)の中に組み込まれている磁気ディスク基盤、
新幹線や航空機、船舶、宇宙船などの構造材などだ。

それと、一円玉もすべてアルミニウムだ。  販売先も多岐にわたる。
ビール会社や飲料会社、缶を作る製缶会社、タバコ会社、自動車会社、
IBMやHPなどの大手コンピューター会社、大手重工メーカー、ボーイングなどの
航空機メーカーやスーパーなどの小売、造幣局などに販売しているんだよ」

隣の同期の森永もうなづきながら必死でメモを取っている。

「柴田さん。 素晴らしい金属で販売先も色々あるということはわかりました。
ただ、そのような情報が、僕の営業にどう役立つのかわかりません」

宮田はいらいらして聞いた。


「ここまでいってもわからないのかい? 

今回君の部で鹿沼工場向けに受注した大型圧延ラインを、日本非鉄金属は
なぜ導入することを決めたのか?  
それは彼らの製品のニーズが伸びて、需要が拡大し、それに対応する必要が
出てきたからなんだ。  アルミの総需要は現在400万トンといわれているが、
まだまだ伸びる可能性がある。  リサイクルも容易に可能で、環境にもやさしい。
マグネシウムやマンガン、亜鉛などの他の金属と混ぜて合金にすればもっと
機能が良くなり、新しいアプリケーションも開発されることもわかっている。 
アルミニウムの原料となるボーキサイトという鉱石の埋蔵量もオーストラリアや
ベネズエラの地下に250億トン眠っており、まだ1億トンしか使っていないので、
資源としても十分な量が約束されている。 

金属として非常に将来性のある有望なものなんだ。 
ポイントは、日本非鉄金属が何もしないで黙っていてこの需要の伸びに出くわしたのか
ということなんだ。  
君の部が何故大型圧延設備を受注できたかということとつながるんだが、実は、
君の先輩の関と俺で、日本非鉄金属という我大日本商事のお客様である、さらに
その先のお客様の市場に対してある仕掛けをしたからなんだ。

つまり、お客様のその先のお客様の新たなニーズに目をつけて、さらにウォンツと
デマンドを創出し、それらと日本非鉄金属の経営戦略と結び付けることに成功した
からなんだ」

宮田は、目からうろこが一枚一枚はがれ落ちるような思いであった。
商社の本質がだんだんとわかってくるような気がして飛び上がりたいほど
うれしい気分だった。
この際、聞くは一時の恥と自分に言い聞かせ、柴田が言ったマーケティング
用語に関する質問をした。


「柴田さん。 ニーズとウォンツ、それとデマンドの違いが良くわからないんですが・・・」


「森永もよく聞いとけよ。 お前ら、毎晩赤坂で飲んだくれて、女の子を追い掛け
回しているだけじゃだめだよ。  
たまにはコトラーの本でも読まないと。
マーケティングの世界的権威でアメリカの経済学者であるコトラーが
{マーケティングとは、交換過程を通して、ニーズとウォンツを満たすことを
意図する人間の活動である}と定義している。

この中のニーズとは、人間が生活を送る中で、必要なある充足状況が
奪われている状態のことをさす。 一方ウォンツとは、そのニーズを満たす
ある特定のものへの欲求、欲望のことをいう。
さらに、デマンドとは、購買能力と購入意思に支えられたある特定の製品に
対するウォンツであると定義しているんだ。

それでは質問です。
関が目をつけたニーズとはいったい何だったでしょう?」

次回に続く。


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