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常識破り介護への挑戦! バリアだらけの「バリア・アリー」

ビジネス進化論  ~成功するビジネスモデルの法則~
2009/07/31 第 5号 ━━━

デイサービスセンターという老人の福祉施設をご存知ですか?   
高齢者に対して送迎・入浴・食事などの提供、機能訓練、介護方法の指導、
レクリエーションを提供する日帰りの介護施設です。 

発想の転換を行って、常識破りの新しいサービスモデルに挑戦し、高齢者の心を
わしづかみにしている元気一杯のセンターの事例です。
( 主な情報ソース:スーパーモーニング 2009.07.23)


◆サービスの特性として、サービスはお客様との共同作業で作り上
げていくということがあり、この点はハードウェア製品と大きく異
なる点である。

◆お客様の参加をうまく組み立て、お客様に心から楽しんで頂き、
サービススタッフとお客様が一体となって喜びと楽しみを共有する
ことが成功するサービスモデルにとってはとても重要である。

◆これに関連して押さえておきたい点がある。 人間の欲求に関す
る考え方で有名なマズローの5段階欲求説である。 人間の欲求を
5つの段階に分けて、低い段階から上位の段階に進んでいくという
理論である。

◆人間は、食べたい、眠りたいといった「生きるための欲求」が満
足されると、「安全の欲求」、次に「所属したい欲求」へと進み、 
さらに「認められたい欲求」があって、最後に「自己実現の欲求」
というものを満たしたくなるのである。

◆また、ハーズバーグの衛生理論では、働くことや活動することへ
の強い動機づけには、「尊敬されたい」「創造的なことをしたい」
「目標を達成したい」というような、より上位の欲求を満たす必
要があるという。

◆「サービスはお客とサービススタッフの共同で作業する」という
特性と、人間が本来もっている「上位の欲求」を意識すると、成功
するサービスモデルを成り立たせる成功要因というものが見えてく
る。

◆テレビ朝日「スーパーモーニング」で、常識破りの介護に挑戦し、
高齢者の心をわしずかみにして大成功を収めているデイサービス
センターの取り組みが紹介されていた。

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■■ 人間の尊厳と自尊心とは?

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◆そのデイサービスセンターの名前は、「夢のみずうみ村」。 
山口や富山、福岡など全国に6か所のセンターを持ち、「介護施設
の革命児」といわれる作業療法士の藤原氏が運営している。

◆このセンターでは、通常のセンターでは考えられない常識破りの
方法を取り入れて、利用者である高齢者に大変な評判を博している。

◆例えば、「バリアだらけのバリア・アリー」といわれる施設内で
至るところで見られる「高齢者にとって不親切」と一見移るサービ
スや施設類。 

◆「人生の坂道」と名付けられた手摺のない急な階段や、自分で動
いてお皿に盛りつける「バイキング形式の食事」などがあり、敢え
てこうしたバリアだらけの環境にすることで高齢者が自然にリハビ
リをすることに繋がるという。 

◆さらに、レクリエーションの一貫として「おいちょかぶ」と呼ば
れる花札や、パチンコ、ルーレットなど、まるでここはカジノかと
見間違う程にギャンブルを取り入れて、奨励しているのだ。

◆もちろん、ここで掛けるのはお金ではなく、この施設内だけで使
える「ユーメ」という通貨。

◆この「ユーメ」というお金は、例えば自分の食器を片付けると5
ユーメもらえたり、リハビリの目標を立てると100ユーメ、達成す
ると500ユーメなどと決まっており、活動毎に受け取ることができる。

◆施設内のサービスを受けるには、必ずユーメで支払いをすること
になっている。 例えばコーヒー一杯飲むのにも、施設内展示即販
会などで花の苗を買うのにもユーロでの支払いが必要となる。

◆ギャンブルを通じて、皆楽しみながら自然と喜怒哀楽を表わすこ
とによって、眠りかけていた感情の起伏を感じ、頭をフル回転させ、
脳の活性化に役立たせるのが狙いであるという。

◆面白いのは、通常の施設では、作業療法士や介護士らが作ったメ
ニューが与えられるのが一般的であるが、ここでは毎日高齢者自ら
が、その日のサービスプログラムを選択するという仕組みを取り入
れているのである。 

◆ここでは、例えば「ポパイ(筋トレ)」、「何もしない」、
「ボーっとする」、「のんびりする」、「ギャンブル」などのプロ
グラムの中から、高齢者自らが選択し、コミットするのである。

◆放映では、目を輝かせてプログラムを選択し、自ら喜んで自発的
に楽しみながら、リハビリを実行しているお年寄りの生き生きとし
た姿が映しだされていた。

◆結果も具体的数字で出ている。 重度の介護を要する要介護3の
お年寄りの初回利用からの改善率では、全国平均が11.5%であるの
に対して、みずうみ村では何と76.9%となっている。

◆この施設の成功要因は何か? それは、「守ってあげる」「保護
してあげる」対象として見ていたお年寄りを、「自立した」、「自
尊心を持った」対象として位置づけて、本人の自立支援をおこなう
と考えた点である。

◆お客様、ここでは高齢者が自ら選択して楽しみながらサービスに
参加し、自ら決めた目標に向かって、人間の尊厳や自尊心といった
ものを意識しながら喜んで自発的にリハビリを行う。

◆従来よく見られるリハビリは、受け身で辛いものであったが、こ
こでは、自分で選んで、自分でいつまでにどこまで達成させるなど
をコミットする。

◆自分で納得して決めたことなので、モチベーションも上がり、楽
しいし、やりがいもあり、自然に効果も上がってくるのである。

◆人間の尊厳や自尊心を尊重し、「創造的なことをしたい」「目標
を達成したい」「尊敬されたい」といった、より上位の「自己実現
の欲求」を満たすサービスがうまく機能すると、素晴らしい高付加
価値を提供することが可能となるのである。

参考文献:
「顧客はサービスを買っている」諏訪良武氏著(ダイヤモンド社刊)

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■■ 今回の学び ■■
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サービスは、良かれと思ってあれもこれもと欲張ると、ともすれば
お客にとって「余計なお世話サービス」となりやすいと思います。
サービスは、提供するスタッフとお客様の共同作業で成り立ってい
ることが多いことを念頭に、どうすれば一番お客様が喜んでくれる
のか、お客様は本当は何を望んでいるのかを十分考えて、サービス
モデルを構築することの重要性をこの事例は教えてくれています。


お客にとって「余計なお世話サービス」となりやすいと思います。
サービスは、提供するスタッフとお客様の共同作業で成り立ってい
ることが多いことを念頭に、どうすれば一番お客様が喜んでくれる
のか、お客様は本当は何を望んでいるのかを十分考えて、サービス
モデルを構築することの重要性をこの事例は教えてくれています。


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