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メールマガジン(3) 革新的図書館はRFID(ICタグ)がお好き!

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■■   優良事例で学ぶ「成功するサービスモデルの法則」
■■    ~ サービスサイエンス的思考法で探る ~

━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2009/07/18 第 3号 ━━━

◆こんにちは。現役の事業開発・強化コンサルタント兼サービス
サイエンティストの三宅信一郎です。

◆成功しているサービスモデルには必ず成功の法則が存在します。
サービスサイエンス的アプローチを用いて、そのサービスを観察し
モデル化することで、その特徴を可視化したいと思います。

◆そして、そのサービスを成り立たせている論理を明確にし、より
高い価値を提供するサービスとは何なのかといった本質を、読者の
皆様と探求しながら、共有していきたいと思います。

◆その結果、日本のサービス分野において、より高い価値を提供す
るサービスがひとつでも多く現れ、より快適な世の中になることを
切望しています。

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■■■ ■■■ ■■■  今日のお話  ■■■ ■■■ ■■■
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公立の図書館が、すごい勢いで進化していること、ご存知ですか?
公立図書館のサービスの質の向上が最近著しく良くなったように思
います。 その背景にはRFID(ICタグ)やネットなど最新の情報通
信技術を活用した、サービスの品質を向上するための仕掛けが浸透
してきたからなんです。

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■■  公立図書館。 イメージ一新!

━━━━━━━━━ 情報ソース:日経 2009.07.11 /P35 ━━━━━

◆皆さんは、公立の図書館にどのようなイメージを持っているであ
ろうか? 「読みたい本を無料で借りる場所」、「勉強や読書のた
めに、自宅では集中できないから、机なり勉強する空間を無料で借
りるだけの場所」といったところではないだろうか?                                                                                   
◆そのような図書館のイメージが最近急速に変わりつつある。
7月11日の日経に「公立図書館。イメージ一新」という記事が載っ
ている。 どのようにそのイメージが変わったのか、また、それを
変えた仕組みとは一体何であろうか?

◆「顧客はサービスを買っている(ダイヤモンド社)」の著者諏訪
良武氏によると、日本には約450種ものサービス業種があり、それ
ぞれの業種の主要サービスを分類していくと、最終的には基本メニ
ュー21個で全てのサービス業を分類できるとしている。

◆この21種の基本メニューを整理すると、世の中のサービス業は、
「モノ提供サービス」「情報提供サービス」「快適提供サービ
ス」
の3つに分類することができるという研究成果を発表されてい
る。

◆さて、この分類が妥当だとすると、従来の図書館が主に提供して
きたサービスは、この3つの中でどれであろうか? 主に「本とい
うモノを貸し出す」という「モノ提供サービス」
が中心であったと
いえるのではないだろうか。

◆最近の世の中の強いサービス、魅力のあるサービスを観察してみ
ると、先述の3つのサービスエリアを重ねることにより、新しい価
値を提供し、大成功しているサービスモデルが多い。

◆例えば、農家が野菜というモノを栽培・提供する「モノ提供サー
ビス」
に加えて、無農薬と有機肥料を使って栽培することにより
安心・安全という「快適提供サービス」を提供するというモデル。 

◆さらに、その無農薬有機野菜を使ったおいしい調理方法をネット
で提供する「情報提供サービス」を行うことで、好評なサービスモ
デルを確立しているケースなどである。

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■■  図書館新サービスを支えるICタグとIT(情報技術)

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◆記事では、公立図書館が、サービスの中身を様変わりさせている
という。 インターネット予約や、欲しい資料を探し出すレファレ
ンス機能を強化、蔵書管理機能の使い勝手が以前に比べぐっと良く
なったと以下の様に報告している。

◆2007年11月に浦和駅東口の浦和パルコの上階にオープンした、さ
いたま市立中央図書館は、この6月24日で開店以来の類計で200万
人を突破した。 この原動力は、インターネット予約システムの導
入であった。

◆東京葛飾区は新しい中央図書館をJR金町駅前に開設。 ICタグを蔵
書に貼付することにより、迅速な貸し出し・返却の自動化をRFIDシス
テムによって行うことで、利便性を高めている。

◆我々の調査でも、2008年6月に新図書館としてリニューアルされた
北区新中央図書館では、不正持ち出し防止機能をそなえたICタグを、
すべての蔵書に導入し、RFIDシステムによる盗難防止、貸し出し・返
却処理の効率化を図っている。

◆それに加えて、この図書館では、蔵書検索機能や、図書情報提供機
能の強化を狙った図書館総合情報システムを導入し、効率的で信頼性
の高い図書館業務を推進している。

◆RFID導入前のシステムでは、バーコードで1冊ずつ人が読み取って、
貸し出し・返却処理や蔵書点検作業を実施していたため、図書館職員
の負荷は非常に大きい状況であった。 

◆RFID導入後はすべて自動化されたために、作業効率が大幅に向上し、
結果として蔵書点検の一斉休館日をなくし、図書館利用者へのサービ
ス向上を可能とした。

◆重要な点は、こうした業務をRFIDやITの仕組みに置き換えたことで、
図書館職員である司書が、雑務から解放され、本来の姿である図書の
コンシェルジェたるべく、その知識や機能や能力に磨きをかける余裕
がうまれ、利用者に対するより良いサービスの提供を行うことを可能
にしたという点である。

◆こうした図書館の生まれ変わりへの動きの背景には、今までの図書
館に対する行政や地域住民の認識の低さ、図書館側からの広報不足か
ら「存続に対する危機的な状況」との認識が生まれていることがある。

◆このように最新テクノロジーを導入することで、図書館は単に「本
をタダで借りるところ」という旧来の単一イメージのサービスモデル
から、「新しいサービスを提供するところ」に着実に移行し、旧来の
モデルから脱却しようとしている。

◆従来の、本を無料で貸し出すという「モノ提供サービス」や、勉強
や資料作成のための静かな環境を提供する「快適提供サービス」に加
えて、人とITを駆使した「情報提供サービス」の3点がセットにな
って新しい価値を提供し始めているのである。

◆3つのサービスが重なることにより、1+1+1が3ではなく、恐
らく3よりはるかに大きな付加価値を利用者に提供していると思われ、
大きな相乗効果をもたらしているといえる。

◆図書館というサービスモデルは、これからは、町にあって、誰もが
身近に無料でいつでも、容易に活用できる「町角の巨大データセンタ
ー」
という位置づけになるような気がする。

◆アナログデータ(本の実物)とデジタルデータ(デジタル化された
資料)を格納した巨大データベース」あるいは、「何でも知ってる町
の知恵袋」「わからないことがあれば、まず図書館」というようなイ
メージを増殖させ、今後もさらなる進化をしていくのではないかと考
える。

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■■ 本日の学び ■■
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古いビジネスモデルでも、ITを活用することで、生まれ変わることが
出来るということを改めて感じます。 ただ、そこに人が介在してい
ることを忘れてはいけません。 RFIDなどを含むIT(情報技術)は、
それ自体が何か素晴らしい成果や貢献、売上や利益増大といったビジ
ネスリターンを直接的にもたらしてくれるという訳では決してありま
せん。 これらITを如何に人間が活用し、ITに任せられるものは思い
切って任せて、その空いた時間と、ITが提供してくれる今まで得られ
なかったであろう素晴らしい情報を、人間がうまく活用するという努
力を忘れてはならないと思います。 成功している図書館は、司書を
始めとして職員の方々が高度な仕組みをうまく活用し、いきいきと働
いている人間的な魅力に富んだ職場に違いありません。

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■■ 編集後記 ■■
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正直いいます。 小学生の頃から図書館が嫌いで嫌いでしかたあり
ませんでした。 子供心にはとても退屈な場所としか映りませんで
した。 声出せない。走れない。 大学時代も同じで、山登りとス
キーに明け暮れていた小生にとって、大学図書館は、たまにスキー
の教本を借りに行くぐらいでほとんど縁がなかった場所でした。 
使う側も図書館側もマンネリ化していたように思います。 
最近の図書館は、「町の情報・ナレッジデータセンター」と名付け
てもいいほど、そのサービスモデルが進化しましたね。 
皆さん。 一度最寄りの公立図書館に行ってみませんか? そこで、
こんな体験をした、これはやっぱり良かった、やっぱりだめだった
など、忌憚ないご意見頂ければ大変幸甚に存じます。

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