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メールマガジン(創刊号) 日本一お客思いのスーパー

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■■    成功するサービスモデルの法則
■■   ~事例で学ぶサービスサイエンス~

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 創刊号 ━━━

◆はじめまして。現役の事業開発・強化コンサルタント兼
サービスサイエンティストの三宅信一郎です。

◆成功しているサービスモデルには必ず成功の法則が存在します。
これからサービスサイエンス的アプローチを用いて、そのサービスを
観察しモデル化することで、その特徴を可視化し、そのサービスを成
り立たせている論理を明確にし、より高い価値を提供するサービスと
は何なのかといった本質を読者の皆様と探求しながら共有していき
たいと思います。

◆その結果、日本のサービス分野において、より高い価値を提供する
サービスがひとつでも多く現れて、より快適な世の中になればいいな
と思っています。

◆創刊号では、実在の企業ではないですが、故伊丹十三監督の「スー
パーの女」という映画に出てくる「正直屋」というスーパーを事例と
して取り上げました。「正直屋」が、どのようにそのサービスレベル
を向上させ、どん底から這い上がり成功に至ったかを分析してみたい
とおもいます。

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■■    日本一お客思いのスーパー

━━━━━━━━━ 情報ソース:伊丹十三作品「スーパーの女 ━━

◆のど元過ぎればなんとやらではないですが、昨年は、中国から
輸入された餃子の農薬混入問題で、食品の安全性が疑問視され、
大変大きな社会的問題になったことを覚えていますか?

◆有名ブランドを誇る大手食品会社の信用問題までに発展しま
した。

◆忘れた頃に繰り返される食品への偽造、偽装、安全問題。立派
に立ち直った会社もあれば、この世から姿を消した会社もありま
した。あまりにも多すぎて、一つひとつの事例がどういう問題を
起こして消費者にどんな被害を及ぼしたのか、思い出せないくら
いです。

◆毎年恒例の京都清水寺の僧侶が書く「今年の漢字」の2007年
版は、情けないことに「偽」でした。偽装、偽証、偽計の「ギ」
だそうです。

◆こういう状況を見ていますと、企業経営において「顧客志向」
、「現場主義」が大事である!などと昔からよく語られますが、
そんものいったいどこに行ってしまったのかと思ってしまいま
す。

◆ある日、近くのビデオレンタルショップに行って、故伊丹十三
監督の「スーパーの女」という映画のDVDを借りてきて何年か
ぶりに改めて観てみました。

◆私がパートナーとして所属しているワクコンサルティングとい
うコンサルタント集団の中でのある研修会で、「顧客志向とは
何か」という本質を学ぶには、この映画は素晴らしい映画だから
ぜひ観るといいと先輩コンサルタントに薦められたからでした。

◆この映画を観てびっくりしました。1996年の作品なのでも
う10年以上も前に作られたのですが、そこに描かれているスト
ーリーは、まさに昨年来から問題になっている食品偽装に真正面
から取り組んで、真の顧客志向を追及するスーパーの物語が描か
れておりました。

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■■  売れるためのビジネスモデルの仕組みを読み
■   解く

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◆スーパーの名前は「正直屋」。宮本信子演じる主人公が、ある
とき近隣にオープンした安売り日本一を歌い文句にする「安売り
大魔王」という後発のスーパーに客を取られてしまい、そこに対
抗するために、幼馴染みの社長を支えながら、お店の改革に着手
し、やがて遠のいていたお客を見事取り戻すというストーリーが
描かれています。

◆主人公が支援を開始したときの正直屋は、名前とは全く正反対
のオペレーションを行っていました。

◆たとえば、業界の常識だといって、前日の売れ残りの肉や魚を
パックし直したり(リパック)、日付を偽装したり、高級肉に安
い肉を交ぜてかさを増してごまかしたりと、消費者がまさかと思
ようなことを平気で行って、儲けることばかりを優先していまし
た。

◆儲け至上主義が偽装を生み、結局儲けるどころか、結果として
大事なお客様を競合に奪われてしまいました。

◆お客様もさることながら、そこで働く社員やパートのおばちゃ
んでさえも、正直屋で買うことがないスーパーにまで落ちぶれて
しまいました。

◆そこで、主人公は、何よりも大切なことは何かを考えに考え抜
いた末に、それは、「お客様に本当に喜んでいただくこと」であ
るということに行きつき、それをビジョンとして掲げるに至りま
した。

◆そして、日本一のお客様思いのスーパーに何があっても生まれ
変ろうと強く決意したのです。

◆それからは、偽装に手を染めていた職人やマネージャー、調達
先の社長などから、猛反発に遭いながらも、偽装を良しとしない
一部の社員やパートのおばちゃんたちと一緒になってお客の声を
真摯に聞き留め、希望や要望を吸い上げ、たとえ誰が抵抗しよう
と、多少お店に損が出ることになろうと、やらなければならない
ことにひたすら邁進するのです。

◆この正直屋のビジネスモデルから学べることは、

1.顧客志向・現場主義

2.情熱をもったリーダーの存在(主人公)と明確なビジョン
(こうあるべきという誰もが理解しやすい方向性)

3.既存の業務プロセスの見直しと改革(改善ではない)

4.社員のやる気の喚起

の4点であると思います。

◆顧客満足(CS)の解説本を何冊も読むよりは、顧客志向の入門
を学びたい方は、是非この「スーパーの女」を見るのが一番ス
トレートでわかりやすいと思います。

◆以前ご覧になった方も、初めからこの映画から顧客満足向上の
方法論を学ぼうなどと思って見た訳ではなく、小生もそうでし
たが、単なるエンタテイメント映画としてご覧になった方がほ
とんどだと思います。

◆その時と違い、ぜひこのような観点から皆さんも一度ご覧にな
ってみてはいかがでしょうか?

◆ただ、本当に今すぐ見てほしい方々は、冒頭に記載した企業の
経営者の方々ですね。ぜひ正直屋のように見事に再生して、以前
のように消費者の満足度を向上させて、夢を与えてもらいたいと
思います。

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■■ 本日の学び ■■

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◆企業の商品の売れ行きが向上するとしたら、何がそのきっかけ
となり得るのだろうか。熱い思いを持った経営者が、顧客の「事
前期待」に真摯に向かい合い、そこに提供価値の拠り所を見出す
地道な努力がなされた時に初めてビジネスが動き出すのではない
だろうか? そのためには常に顧客の「事前期待」を収集する仕
組みを構築する努力を続ける必要がある。

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■■ 編集後記 ■■

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◆最後まで読んでいただきまして、誠にありがとうございました。
これからもこれぞというサービスモデルを見つけて、解説をして
いきたいと思っておりますのでお楽しみに。

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