三宅商店主 日記 2008年3月18日(火)
◆いよいよ本の締め切りが近付いてきた。
◆よく、テレビドラマなんかで、締切間近の高名な作家先生を、
若い編集記者が原稿取り立てのために追い回すという
風景があるが、逃げ回る作家先生の気持がよくわかる。
◆幸い、今回の編集者の方はとても紳士な方であるので、
取り立てこそないが、寝ても起きても締切のことばかりが
気になる。
◆特に今回大変なのは、海外事例の許可をとることである。
海外の大手企業の窓口を見つけ、事例の原稿を英語に
訳しなおして、企画書とともに提出し、許可をとるのだが、
これが本当に大変。
◆ドイツ最大手の小売店や、中国の巨大国際空港など
ここ一か月メールでやりとりの繰り返しである。
原稿を書く以前に、細かい交渉事を地道に繰り返さないと
いけない。
◆いくつかの候補のなかで、中国の国際空港からはいくら
メールをしても何の音沙汰もない。メールを受け取った
という返事もない。
◆どうせ中国は経済活況のなか忙しすぎて、こんな小さな
日本のコンサル会社の本なんか目もくれないのだろう。
広報部にはめちゃくちゃ大勢の人がいて、権限をもった
担当者に行きつくには何日もかかるだろう。
もともと丁寧に対応なんかしてくれないだろう。
などとほとんどあきらめていた。
◆しかし、苦労して10ページも英語で原稿を書いたので、
諦めきれず、だめもとで、ホームページから空港の広報の
代表番号を見つけて、思い切って電話をしてみた。
◆昔、商社で働いていたころ、主な通信手段は電話かFAXか
テレックスしかなく、ガンガン海外の取引先に電話を
かけまくっていた頃を思い出しながら。
◆「ニーハオ!This is Communications & Public Affairs!」
明るい元気な女性の声が返ってきた。
◆「日本から電話をしているMIYAKEと言います・・・。 あの・・。
本の件で・・・」
というやいなや、窓口の女性が
「あー。RFIDの本を書こうとしているMr.MIYAKEね!
すみません。連絡できずに。
ちゃんと原稿は複数の人間で審査してるわ。
今週中には必ず回答をするので、待っていてください」
「サ、サンキュウ!!!」
◆ 正直びっくりした。
まさか、最初の電話でまさに原稿を読んでくれていた
担当者本人と話すことができるなんて!
それも、とても丁寧で親切な応対だった。
◆ 電話をしてみるもんだとつくづく思った。
もしメールだけであきらめていたら、おそらく返事
はこなかったかもしれない。
◆ 最初から勝手にいい加減な対応しかしてくれないなどと
決めつけていた自分を大いに恥じた。
決めつけや思い込み、先入観は絶対に良くないと思った。
◆ それと、コミュニケーションといえば、もっぱらPCや
携帯でのメールなどのデジタル全盛の時代にあって、
電話という双方向のコミュニケーションも逆に
希少価値が出て、相手の印象にのこりやすいのでは
ないかと思った。
◆無機質なタイプ文字の羅列や絵文字もいいが、電話とか、
手書きのはがきなどのアナログコミュニケーションの良さも、
この出来事を機会に見直してみたい。